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大腿骨近位部骨折(股関節の骨折)

大腿骨近位部骨折:ご家族にやっていただきたいこと

前回記事にて大腿骨近位部骨折について大まかに説明しました。

私がこの記事で一番言いたいことは、

診断、入院治療、退院調整にはご家族の協力が不可欠ということです。

診断

転倒を契機に大腿骨近位部骨折を発生、体動困難となったところをご家族が発見、救急搬送されるパターンが最も多いです。

高齢者が股関節周囲を痛がり動けなかったらすぐに救急車を呼んでください

救急搬送時 

大腿骨近位部骨折は大抵の場合は

そのまま入院となります。

入院時に必要になるものを下記にリストアップしておきますので、持っていって病院に行くと良いでしょう。 

  • 健康保険証(国保、健保、後期高齢者など) 
  • 高齢受給者証(70歳以上75歳未満) 
  • 現在飲んでいるお薬、お薬手帳 
  • 医療受給者証(各種公費負担者証など、該当者) 
  • 限度額適用・標準負担額減額認定証(該当者) 
  • 限度額適用認定証(70歳未満) 
  • その他(現金・入院保証金・緊急連絡先・印鑑等) 

その他、今までかかった病気(既往と言います)、現在治療中の病気(治療をおこなっている病院も)、アレルギー(食事、薬)なども必ず医師から聞かれますので、準備していただけると大変助かります!!

入院、手術後 

入院後の大まかな流れは以下の通りです。 

入院後、大腿骨近位部骨折の手術(①)を行います。

術後1〜2週間入院継続し、全身状態の観察、リハビリを行います。 (②)

この時点で、 

独歩、杖歩行安定して可能であればそのまま自宅退院(③)となる場合もありますが、大抵の場合はこの時点では、自宅退院は厳しくリハビリを重点的に行うための病院(回復期リハビリ病院)に転院しリハビリ継続した後に自宅退院④の流れとなります。 

※元々車椅子や寝たきりであったなどの方は療養と生活機能の回復や維持を担う施設に転院(一般病院、療養型病院、介護老人保険施設)となる(⑤)場合もあります。 

自宅退院に向けて 

●退院後の生活や利用すべきサービスについて相談 

自宅退院後も在宅で介護サービスを受ける必要がある場合があります。 

介護サービスとは、高齢者や障害者など、介護を必要とする人が利用できるサービスのことです。リハビリや福祉用具貸し出し、住宅改修サービスなどもあります。 

主な介護サービスをあげます。 

・家庭で受けられるサービス 
訪問介護(ホームヘルプサービス)/夜間対応型訪問介護(要支援の人は利用できない)/訪問入浴介護/訪問看護/訪問リハビリテーション/居宅療養管理指導など 
 

・福祉用具関係のサービス 
福祉用具の貸与/福祉用具購入費の支給[全額の9割(または8割)が介護保険から支給、支給額には限度額あり] 
 

・住宅改修サービス(つまづいたり、転倒・転落しないように自宅の環境を整える)  

 住宅改修費の支給[全額の9割(または8割)が介護保険から支給、支給額には限度額あり] 

入院時から担当の医師や医療ソーシャルワーカーなどに、退院後の生活や利用すべきサービスについて相談しておきましょう自宅に戻った後も、 安心して療養できるよう介護サービスの相談にのってくれます。 

●介護保険の申請、ケアマネージャーを探す 

介護サービスを利用するためには、あらかじめ区市町村の介護保険窓口で要介護(要支援)認定を申請し、認定を受ける必要があります。その後、ケアマネジャーがつくるケアプランに基づきサービスを利用することになるため、申請と並行してケアマネジャーも探しておくとよいでしょう。 

介護認定の申請から判定までは概ね30日程度かかるので、早めに動きましょう 

→参考:「介護保険、介護サービスについて」 

 ●在宅療養に向けた準備 

ケアマネジャーが決まったら、患者の状況と、家族がどんなことに困っているかを伝え、介護サービス計画(ケアプラン)を作成してもらいます。ケアマネジャーは必要なサービスを受けられるように、サービス事業者へ手配します。 

自宅退院後に、「安全で、生き生きとした家庭生活の継続」のため以下のことを頑張る 

●退院時の移動動作・日常生活の動きを維持できるように、リハビリを継続しましょう。必要に応じてディサービスや訪問リハビリ、通所リハビリ等の介護サービスを継続しましょう。 

●骨折予防のため骨粗鬆症の治療と日常の健康管理のためにかかりつけ医の診察を必ず受けましょう! 

→参照「骨粗鬆症について詳しく」 後ほど公開します。

まとめ

  • 大腿骨近位部骨折の診断、入院治療、退院調整にはご家族の協力が不可欠
  • 高齢者が転倒して股関節周囲を痛がり動けなくなっていたら、救急車を呼びましょう
  • そのまま入院となることが多いので、入院の準備をしてから病院に行きましょう
  • 入院後から退院に向けた準備を進めていきましょう。医療ソーシャルワーカーが相談に乗ってくれます。
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大腿骨近位部骨折(総論)

みなさん、こんにちは、Kussunです。

今回から何回かに分けて大腿骨近位部骨折についてお話しします。 

本日は序章として、大腿骨近位部骨折とは?についてお話しします。 

大腿骨近位部骨折とは

まず、「近位」とは「頭側の」という意味です。

対照的に「遠位」とは「足側の」という意味です。

つまり大腿骨近位部骨折とは「大腿骨(太ももの骨)の頭側の骨折」ということになるます。

もっとわかりやすく言えば「大腿骨の股関節周囲での骨折」を総称して大腿骨近位部骨折と呼びます。 

大腿骨近位部骨折の特徴

骨粗鬆症で骨が脆くなった高齢者に多いです。 

日本では年間およそ12万人が受傷しております。

みなさんにも聞き馴染みがある心筋梗塞の年間発症者がおおよそ6万人であることを考えると、決して珍しい病気ではないですよね?

特に高齢者家族と同居している方は遭遇することが多いため、知っておいた方が良いでしょう。 

今回、私が一番お伝えしたいことは 

診断、入院治療、退院調整にはご家族の協力がとっても重要!!

ということです。  

→参考:ご家族にやってほしいこと

診断について 

この骨折を契機に動けなくなり、ご家族が発見、救急搬送されるパターンが最も多いです。

転倒(尻餅)が原因となることが多いですが、高齢者は骨粗鬆症を伴っていることが多く、骨が脆くなっているため、軽微な外傷(ちょっと脚を捻ったぐらい)でも発症することがあります。 

また、認知症があると痛みの訴えがはっきりしないこともあり、発見が遅れる可能性もあり注意が必要です。

高齢者が転倒して歩けなくなったり、股関節周囲を痛がれば、大腿骨近位部骨折を疑い、すぐに救急車を呼んでください 

治療 

全身状態が手術に耐えうるなら手術を行うことが基本です。 

♦︎手術を行う根拠

大前提として、大腿骨近位部骨折をすると歩けないため、骨がくっつくのを待っている(期間としては2〜3ヶ月)と寝たきりとなってしまいます。

寝たきりというのはかなり厄介です。

寝たきりになると、筋力は弱り、また物を飲み込む力(嚥下と言います)なども落ちるため、肺炎などの合併症を起こし、高齢者にとっては命取りとなります。

だから、高齢者の大腿骨近位部骨折で手術をせずに寝たきりとなった方の平均余命は半年程度とも言われております。

そのため、手術を早く行い(推奨は48時間以内)、なるべく早期からリハビリを開始することが治療の基本となります。

手術は大きく分けて骨折した骨を引き寄せて金具で固定する骨接合術人工骨頭挿入術が基本です。

→「大腿骨近位部骨折の手術治療について詳しく」

後ほど公開します。

まとめ 

大腿骨近位部骨折の定義、その特徴、診断、治療について、大まかに説明しました。

  • 大腿骨近位部骨折は大腿骨の股関節周囲の骨折のこと 
  • 高齢者に多い骨折です。
  • 治療は手術が基本 
  • 診断、入院治療、退院調整にはご家族の協力が不可欠